9 視線入力の取り組みが変えたもの・あとがき

公費で購入した視線入力装置が耐用年数を超えたので、再申請して PCEye 5 (Tobiidynavox / ライフハック)を購入しました。

新しい視線センサーは眼球だけでなく頭部モデルによる解析も加わっているそうです。

視線入力の取り組みを始めてからのことをいろいろと思い出しました。

 

息子は、手を使うよりも簡単で・早く・よりたくさんのことを視線入力でできるようになりました。

音楽アプリを操作して曲を選んで楽しみ、EyeMoT「3DX_01対戦ぬりえ」でお友だちとネットで対戦をし、TuxPaintやサウノスヴァルカで絵画や音楽を創作しています。

自分で動かすことや、自分で表現することを楽しんでいるように感じます。

 

日常生活でも変化が見られています。

○画面、物、人をよく見るようになりました。人影を追うようになりました。

○目が合うようになってきました。

○「うん」という返事(声)が出るようになりました。

○笑顔が増えました。

 

息子の変化を家族も実感しています。

家族から息子への話しかけが増えて、コミュニケーションが活発になりました。

そして、私たちの問いかけに息子が答えるパターンから、息子からの発信に私たちが反応するコミュニケーションのパターンが増えました。家族同士のつながりが深まったと思います。

 

息子は自ら学んで自分の生活を変えました。

大人になっても学びの機会を得られること、学びを支えてくださること、心から感謝しています。

■あとがき

 

 

以上、視線入力を中心とした息子と私の奮闘記を9つの章にまとめてきました。

息子の成長に関わり、ご支援くださった全ての皆様に深く感謝申し上げます。

 

最初は視線入力に取り組み始めたところからの限られた記録でした。

しかし、相澤先生が、視線入力に取り組む以前の状況からどうつながってきたかを考えることの重要性をご指摘くださりました。

そこではじめて、皮質盲の発症以降の経緯全体でとらえる視点が大切なのだということに気づきました。

学齢期の長い取り組みがありました。

すぐには結果に結びつかない難しい状況がありました。

指導を根気よく続けてくださる先生方に励まされてきました。

学齢期に積み上げた土台なくしてはこの飛躍はなかったと思います。

感謝しかありません。

 

視点を見直すことで私自身の理解が深まりました。

相澤先生の私ども親子への深い思いやりと丁寧なお導きがあって今があります。

次から次へと思いが溢れ、先生への感謝の気持ちはひとことでは言い表せません。

心より深く感謝しています。