眼のつくりとはたらき

 かなり大雑把ではありますが、眼のつくりと機能について理解したことをまとめてみました。

※ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の『目』のページに、目のわかりやすいモデル図があります。

(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Schematic_diagram_of_the_human_eye_ja.svg#/media/ファイル:Schematic_diagram_of_the_human_eye_ja.svg)

 

■光が視覚として捉えられるまで

 

1、物体や風景から放出または反射された光が、角膜→瞳孔→水晶体を通して目に入る

  そのとき瞳孔が、網膜に到達する光の量を調節します。

  瞳孔は、瞳孔括約筋と瞳孔散大筋の働きにより、明るい場所では小さくなり暗い場所では大きくなります。

  瞳孔は大きすぎても小さすぎても視力に影響を及ぼします。

 

2、角膜と水晶体は、入ってくる光を網膜にある細胞の感光層に投射する

  水晶体は光を集める凸レンズの働きをするほか、厚みを変えることでピントを合わせる働きをします。

  水晶体の厚みは毛様体筋と毛様体小体でコントロールされます。

 

3、網膜は、光の波長(色)・コントラスト・輝度を生物学的信号に変換する

  光は網膜に投射されます。

  網膜上には視細胞、中心窩に密集し詳細な情報を伝える桿体細胞、周辺視野の情報を伝える錐体細胞があります。

 

 

4、それらの信号は、視神経と神経経路を介して脳の視覚処理領域に伝達される

■視野について

 

5、両眼で得られる視野は、水平方向に約220度、垂直方向に135度

 

6、視野は均一ではない。網膜のどこに投射されるかで情報の質が異なる

 ■網膜の中心には中心窩と呼ばれる領域があります。

  中心窩は高密度の錐体細胞で覆われています

  中心窩の大きさは直径が約0.5mmで、視野角度にして約1〜2度にすぎないそうです。

  中心窩は視野の中心の視覚情報を担い、視野の中心でフルカラーでくっきりと焦点の合う象をつくります「。

  中心窩には視神経の50%を占める神経線維が集まり、脳に信号を送っているそうです。

 ■周辺視野の画像はよりぼやけて、詳細に解釈・区別することは困難。

  残りの50%の神経線維が周辺視野からの信号の伝達を担っているということです。

  

7、視野の中央は明るく鮮明に見える

  網膜の中心で視野の中央の視覚情報をを担う黄斑は中心窩と呼ばれています。

  中心窩には、目の感光性細胞の約6%を占める『錐体(すいたい)細胞(cone cell)』が密集しています。

  錐体細胞には、短波長に反応する青錐体、緑錐体(中波長)、赤錐体(長波長)があり色の識別に関与しています。

  錐体細胞は光量には鈍感であるため明るい場所でないと働けないそうです。

 

8、周囲が暗いときは色のないグレースケールの見え方になる

  目の感光性細胞のほとんど(約94%)は桿体(かんたい)細胞(Rod photoreceptor cell)』です。

  桿体細胞は網膜の周辺視野をつくる部分に存在します。

  暗いところでもみることができるのは桿体細胞がわずかな光も感知できるから。しかし色は識別されないそうです。

上記1~8では以下の資料を参考にしました。
Eye tracking essentials: The Human Eye (tobiipro.com)

Tobii Connect: Why do we move our eyes? (https://connect.tobii.com/s/article/why-do-we-move-our-eyes?language=en_US

)

Tobii Connect:  Types of eye movements (https://connect.tobii.com/s/article/types-of-eye-movements?language=en_US)

Robert Snowden, Peter Thompson, Tom Troscianko: 『Basic Vision: An Introduction to Visual Perception 』
京都工芸繊維大学 情報科学センター: 周辺視野について (http://www.cis.kit.ac.jp/~kida/2013/026.pdf)
Wikipedia: 錐体細胞(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8C%90%E4%BD%93%E7%B4%B0%E8%83%9E)

     桿体細胞(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%BF%E4%BD%93%E7%B4%B0%E8%83%9E#:~:text=%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E7%94%9F%E7%90%86%E5%AD%A6%E5%88%86%E9%87%8E%E3%81%A7%E3%81%AF%E3%80%81%E6%A1%BF,%E6%A1%BF%E4%BD%93%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%81%8C%E5%83%8D%E3%81%8F%E3%80%82)

     中心窩(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%BF%83%E7%AA%A9)

瞬間的な見え方をイメージしたイラスト
瞬間的な見え方をイメージしたイラスト

眼球は常に動いてものを見ますが、瞬間瞬間で捉えられ脳に送られている視覚情報は、約1~2°の中心視野が捉えた情報だけなのだそうです。

瞬間的な見え方は、上図のように、中心視野ではピントが合って色彩も鮮明に見えますが、周囲視野ではピントはボケて色も抜けた見え方なのだそうです。

瞬間の視覚情報がつなぎ合わされて認識されることで、視野全体がくっきりと見渡せているような感覚が持てるのだということです。

 

参考

Tobii Pro : ウェビナー「押さえておきたい基本機能」