3 視線入力の仕組み

視線入力装置と視線入力の仕組みについて、Tobii Pro のウェブサイトやセミナーを通じて理解したことをまとめてみました。

■視線入力装置の働く仕組み

 

視線入力装置を使うと、眼球の位置と向きからユーザーが見ている場所を知ることができます。

 

視線入力装置の赤外線カメラが撮影した眼球と、キャリブレーションで補正した「中心窩の軸と光軸のずれ」から、ユーザーにカスタマイズされた眼球の3Dモデルが割り出されます。

ユーザーの目の動きはこの3Dモデルの動きに変換され、計算によりユーザーがモニター画面で見ている場所として示されます。

 

参考

Eye tracking essentials: Tobii Proアイトラッカーの仕組み (Tobiipro.com)

Tobii ConnectHow do Tobii eye trackers work?  (https://connect.tobii.com/s/article/How-do-Tobii-eye-trackers-work?language=en_US)

Tobii Pro : ウェビナー「押さえておきたい基本機能」

■視線入力装置がとらえる目のうごき

 

「停留/注視(fixation)」

ユーザーが注意を向けた対象を中心視野で見ようとして視線を留まらせること。

停留では眼球が50ms~600msの間で留まり続け、その間中心窩からの鮮明な視覚情報が脳に送られます。

停留中の眼球は完全に止まってはおらず、細かく動き続けています。これは固視微動(マイクロサッカード、トレモア、ドリフト)と言われています。

 

「サッカード」

ユーザーが注意を向けたい対象へと目を動かすときの素早い眼球運動。

サッカードでは20ms~80msの短い時間で視線が素早く動くために視覚情報は脳には送られません。

サッカードの軌跡は必ずしも直線ではありません。

目が動いているあいだは終点を変更することはできないそうです。

我が家で用いている視線入力装置には60Hzのサンプリングレート性能がありますが、サッカードを計測するにはもう少し高い性能(例えば200Hz以上)が必要だということです。

 

「スムースパーシュート」

動くものを追う眼球運動。30°/秒を超えない速さ。(30°/秒を超える動きはサッカードとなる)

スムースパーシュートでは対象物の視覚情報が脳に送られるが、対象以外の視覚情報は処理されないということです。

 

「前庭動眼反射(VOR)」 

対象を見つめながら頭を動かすときに、頭と反対方向に動く眼球の反射。

メガネ型の視線入力装置では頭とともに赤外線カメラも動くので、前庭動眼反射がサッカードとして誤検知されることになる。

 

参考

Eye Tracking essentials: Types of eye movementTobiipro.com)

Tobii Connect:  Types of eye movements (https://connect.tobii.com/s/article/types-of-eye-movements?language=en_US)

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■視線入力装置の正確度と精密度

 

視線入力装置の精度は正確度精密度の2面から捉えることができます。

「正確度」

 視線入力装置が割り出した視線の位置と実際の視線の位置との差。

「精密度」

視線データの再現性のばらつき。

 

視線を測定する場所の明るさ(瞳孔が小さすぎても大きすぎても測定が不正確になる)、視線入力装置のセッティング、提示する対象(視覚刺激)の質、ハードコンタクトレンズや睫毛等が正確度や精密度に影響を与える場合があるということです。

 

参考

Eye Tracking essentials: Types of eye movement(Tobiipro.com)

Tobii Connect:  Types of eye movements (https://connect.tobii.com/s/article/types-of-eye-movements?language=en_US)

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